For Students
企業への提案プロジェクト
春学期、秋学期にそれぞれ、5限の授業時間と授業外でのグループ学習を通じて、実在の企業に対しての企業価値向上提案を行います。企業の経営陣、経営企画部、財務部、IR部などの方々に対いてプレゼンを行い、フィードバックをいただき、内容をブラッシュアップし、最終提案を作成します。コーポレートファイナンス領域は、実務と学問の領域が近いため、両方をバランスよく理解し、いかに実践をするかが重要です。財務戦略、株価分析の学びを机上の空論で終わらせないようにしています。ゼミ生全員がグループ単位でプロジェクトを実施します。
過去に実施されたプロジェクト
オンライン生保の成長戦略(2026)
(分析はすべて公開情報を基に学生が独自に分析を行ったもので、内部情報は含まれていません。)
保田研究会では、希望した一部のゼミ生がライフネット生命保険株式会社様と連携し、企業分析を通じて中長期的な成長戦略を考えるプロジェクトに取り組みました。
今回のプロジェクトでは、オンライン生命保険業界の現状や今後の成長性、生命保険の加入状況などを調査するとともに、外部環境・内部環境の定性分析や財務分析など多角的な視点から分析を行いました。また、検討の過程では同社の保険商品一覧から各商品の特徴やターゲット層を詳しく学び、実際のサービス内容に即した実践的な提案へと繋げました。
単に企業の現状を調べるだけではなく、「今後さらに成長するためには、何が必要なのか」「企業独自の強みをどのように成長に繋げられるのか」という問いを設定し、各チームがそれぞれの視点から成長戦略を検討しました。そして7月末には、実際に本社を訪問し、社員の皆様に向けて最終発表を行いました。今回は、そこで発表した3チームの提案をご紹介します。
<チーム1:若年層へのアプローチとライフイベントに寄り添うEmbedded戦略>
メンバー:渡邉周馬、平田凌介、具志有季乃、峰岸諒、齊藤心愛
チーム1は、生命保険の加入動機について調査したところ、20代に限らず「家族や友人など身近な人にすすめられたから」という人が多い一方で、非加入理由として「加入をすすめられたことがないから」「よく分からないから」といった回答も多いことに着目しました。
一方、同社には、オンライン申込だからこそ実現できる割安な保険料と、ネットでも迷わず選べるシンプルで分かりやすい商品設計という強みがあります。こうした強みを踏まえ、オンライン生保という競争優位性を維持するため、シンプルで安価な商品のニーズが高いと考えられる若年層へのアプローチを強化すべきだと考えました。
さらに、同社が進めるEmbedded戦略から、普段利用するサービスのなかに保険との接点を組み込むことで、生命保険を必要とするタイミングで顧客に商品を知ってもらうことができるのではないかと考えました。結婚や出産、住宅購入など、人生の大きなライフイベントは将来のお金に対する不安が生まれやすいタイミングであるからこそ、こうした場面でさまざまな企業やサービスと連携することで、生命保険とのさらなる接点を生み出し、必要性を感じた瞬間に商品を知ってもらう戦略を提案しました。
<チーム2:「徹底的なフェアネスの追求」を成長の軸に>
メンバー:宮武陸、伊藤早織、梶田桃李、記藤海斗、吉川凪
チーム2は、同社が持つ「本当の強みとは何か」という問いから分析をスタートしました。ディスクロージャー資料などをもとにGTA(質的データの分析手法)を用いて分析した結果、対象企業らしさを構成する最上位の概念は、「徹底的なフェアネスの追求」であると考えました。
そこでチーム2は、単に商品やサービスを提供するだけでなく、「保険の加入や見直しを考えたときに、まず思い出してもらえる存在」になることが、持続的な成長につながるのではないかと考えました。そのうえで、「フェアネスを体現しているか」だけでなく、「そのフェアネスが実際に顧客に届いているか」を測定することが重要だと考え、「フェアネス想起率」などの独自指標を設定し、継続的に検証する仕組みも提案しました。
さらに「フェアネス」という価値を顧客体験に落とし込むため、複数の施策を検討しました。
「フェアネス」を起点とした同社流CRM、従来の「プッシュ」でも「プル」でもない、顧客やパートナーの特性に合わせた「フィット型提案」、新たな顧客接点を生み出す「お守り」の提案など、異なる角度から戦略を考えました。
特に、加入者にオリジナルのお守りを届けるというアイデアは、目に見えない「保険」という商品を、万が一に備える「お守り」という形で可視化することで、保険をより身近に感じてもらい、企業の価値を顧客の体験として残すことを狙った提案となりました。
<チーム3:AIで「保険を考える」プロセスそのものを支援>
メンバー:奥山竜成、影山遥奈、桒原莉子
チーム3は、オンラインで生命保険への加入意向はあるものの、実際の加入行動につながっていない点に注目しました。その背景には、一人ひとりに必要な情報を整理し、納得できる加入判断を支える仕組みが不足しているのではないかと仮説を立てました。
そこで、生命保険に関する知識や必要な情報には個人差あること、またオンラインチャネルでは対面販売のような相談・ニーズに沿った最適な保険商品の提案機能を十分に提供することが難しいことを分析しました。
さらに、AIの活用事例や海外のデジタルサービスについても調査し、顧客に寄り添いながら「保険を考えるプロセス」を支援する、伴走型AIの可能性を検討しました。その結果、加入前だけでなく、加入後まで継続的に顧客をサポートする「デジタル伴走型の意思決定支援サービス」を提案しました。必要な情報の整理や商品の比較、保障内容の見直しなどをAIとの対話を通じて支援することで、一人ひとりが自分に必要な保障を考え、納得したうえで意思決定できる環境をつくることを目指しました。
最後に
最終発表では、社員の皆様に向けて、それぞれのチームが調査や分析から導き、考えた提案を発表しました。実際に働く方々を前に、自分たちの仮説や提案を伝え、意見をいただく機会を得たことは、教室での企業分析だけでは得られない貴重な経験となりました。
一般的に、若年層の生命保険への意識は低いと考えられていますが、最終発表後には、大学生である私たちが当事者として「どのようなタイミングやきっかけで生命保険を意識するのか」「どのような商品であれば欲しいと思うのか」「どうすればより身近に感じて実際の加入につながるのか」を真剣に考え、意見を交換する場面も見られました。
今回のプロジェクトを通じて、学生たちは企業や業界について調べるだけでなく、得られた情報をもとに自分たちなりの問いを立て、仮説を構築し、具体的な戦略として形にするという一連のプロセスに取り組み、多くの学びと気づきを得ることができました。貴重な機会をいただきましたライフネット生命保険株式会社の皆様に、改めて御礼申し上げます。
今後も保田研究会では、実際の企業や社会が抱える課題に向き合いながら、学生自身が考え議論し、提案する実践的な学びを続けていきます。
企業価値向上に資する戦略提案(2025)
(分析はすべて公開情報を基に分析を行ったもので、内部情報は含まれていません。)
本ゼミでは、今学期を通じて「企業価値向上に資する戦略提案」をテーマに、学生が自ら分析対象企業を選び、全て公開情報を用いて財務・経営分析を行いました。実際の企業データを基に経営課題を発見し、投資銀行やコンサルティングの現場で行われるような戦略立案を体験的に学ぶことを目的としています。すべてのグループが、対象企業の沿革や事業構造を整理し、中期経営計画や財務諸表を分析した上で、競合他社分析を通じて課題を明らかにし、具体的な成長戦略を策定しました。
提案の内容は様々で、百貨店企業に対し、国内市場が成熟していること、インバウンド需要により百貨店販売額が回復しているものの一時的であると認識し、「海外百貨店企業のM&Aを通じた海外戦略」を、資産効率や資本構造の課題に着目し、「不動産をREIT化することで資産のオフバランス化と再投資余力の創出」を提案したグループがありました。また、大手総合金融サービス企業に対し、「次世代REITを活用することで不動産事業の幅を広げ資本効率を改善し、自社株買いを実行することでPBRとROAの改善」を提案したグループや、大手電機メーカーに「成長市場として期待される分野への投資や、新技術の活用を軸にした事業ポートフォリオの再編」を考えたグループ、大手人材派遣企業に対し、「インドでのエンジニア人材を中核とした紹介事業の拡大やオフショア拠点の設立、日本・インド企業の開発受託の請負」を提案しました。
資産形成学生論文アワード(2024)
一般社団法人投資信託協会が主催する資産形成学生論文アワード2024に参加しました。資産形成の重要性が認識されている昨今の日本において、これから経済成長や賃金等に関する不安が大きい時代を生きる学生が、今後の投資による資産形成の在り方について考えることを目的としたコンクールで、参加を通じて、インフルエンサーはSNSの力で株式市場を操作できるのか、投資インフルエンサーが投資市場に与える影響について研究を行ったり、ESGスコアはファンドのパフォーマンスに影響するのかについて研究を行ったりしました。
ドラッグストア業界プロジェクト(2024)
業界再編期にあるドラッグストア業界について、①サツドラのとるべき事業戦略、財務戦略を取締役会に提案する、②あなたがアクティビストファンドなら投資したいドラッグストア企業を選定する、③あなたが株式アナリスト・ポートフォリオマネージャーとして、ドラッグストア業界はアンダーウェイトですか、オーバーウェイトですか。また、ドラッグストア業界内でのアセットアロケーションについて提案する、という3つのテーマに分かれて取り組みました。
<サツドラの企業価値向上提案>
メンバー:中島月菜、二宮海颯、松村奈奈、岡田夏侑
概要:このプロジェクトでは北海道を拠点とするドラッグストア、サツドラの企業価値向上案を考え、実際に企業の方に提案させていただきました。この班ではまず、売上高成長ではなくROICやROAなどの資本効率の改善に目をつけました。このように効率性の改善を検討したのは、サツドラよりも高い売上高を誇っている競合他社と比較した時に、粗利率の高い食品の割合が高いなどの特徴があったためです。
また中間発表を終え、企業の方からは数値の指摘以外の「ワクワク感が欲しい」とのフィードバックをいただきました。このフィードバックを受け、上記のような財務分析を通じた提案だけでなく、地元の方の視点やニーズを考慮したり、他のお店などを参考にしたりし、「体験性のある店舗」を提案しました。具体的にはカフェの設置、季節感を重視した店内の装飾などを中心とした提案をしました。
日経ストックリーグ(2024)
株式会社日本経済新聞社が主催、野村ホールディングス株式会社が特別協賛する、中・高・大学生を対象にした金融・経済学習コンテストである第25回日経STOCKリーグに参加しました。
このコンテストへの参加を通じて、経済・株式投資の基礎を学ぶだけでなく、「バーチャル投資システム」という仮想の株式売買を行う日経STOCKリーグオリジナルシステムを用いて、チーム内で議論して投資テーマを設定し、500万円分のポートフォリオを構築して投資を行いました。本プロジェクトを通じて、単なる株式投資の体験にとどまらず、経済全体の動向と企業の業績と株価の関係、さらには金利水準や金融政策に与える影響といった株価形成の背後にある要因について体系的に学びました。
日経統合報告書アワード審査(2024)
日経統合報告書アワードに参加されている企業の統合報告書の審査を行いました。学生一人が3社ほど受け持ち、一つ一つの企業の統合報告書を徹底的に読み込み、良かった点や改善点をフィードバックするという形で審査をしました。この審査を通し、自分が知らなかったような企業の取り組み、またそれぞれの企業の思いなどを学ぶことができました。
大手林業企業の株価向上提案(PBR1.0超え達成プロジェクト)(2023)
とある大手林業企業の株価向上提案を行いました。PBRが1を切ってしまっている理由を、財務の面だけでなく多角的な視点から分析をしました。そして、この班ではパーパスが明確になっていないところに目をつけ、パーパス経営の提案をしました。
このプロジェクトを経て、論理的に導き出された施策は企業の方で既に検討済みと考えるべきということや、相手側の事情を考慮した施策を考えるべきということを学べました。また、外部のフレームから見てその企業の根源的な価値観を捉えなおすという価値の再認識が、企業の事業や経営を一貫させる上で重要であることを実感しました。
学研HDの統合報告書分析(2023)
学研HDの統合報告書を共起ネットワークなどの手法を用いて分析しました。その分析から見出された課題を解決するため、インタビューなどで得た意見を手掛かりに、AIを活用した解決策を提案しました。
日経統合報告書アワード審査(2023)
日経統合報告書アワードに参加されている企業の統合報告書の審査を行いました。学生一人が3社ほど受け持ち、一つ一つの企業の統合報告書を徹底的に読み込み、良かった点や改善点をフィードバックするという形で審査をしました。この審査を通し、自分が知らなかったような企業の取り組み、またそれぞれの企業の思いなどを学ぶことができました。










































